法律上は従業員が5人未満の個人事業の建設業者は健康保険と厚生年金保険の加入義務がなく、今までは社会保険未加入でも建設業許可が取得できました。
しかし、令和元年の6月に成立した改正建設業法で社会保険加入が許可要件となります。
改正建設業法は令和2年の秋頃に施行される見込みなので、今後は社会保険に加入していないと許可の新規取得も更新もできないことになります。
まだ社会保険に加入していない建設業者様は早急に社会保険に加入しましょう。
平成29年以降、元請け業者は社会保険未加入の業者を下請けから排除するよう国土交通省から求められております。
【事業所は】
@法人である(有限会社・株式会社など・従業員数は関係ありません)
A個人事業所で常時5人以上が従事している
B個人事業所で加入義務はない(従業員が5人未満)が従業員の過半数が同意した事業所(任意適用事業所)
【従業員は】
@社会保険適用事業場に常時雇用される正社員
A正社員の所定労働時間のおおむね4分の3を超えて勤務するパートタイマー
@常時雇用している労働者がいる事業場すべて
A正社員のほか、所定労働時間の2分の1を超えるパートタイマー
@法人だが誰も雇っていない
→健康保険、厚生年金に加入義務があるが、雇用保険は対象外。
A個人事業で職人を2人雇っている
→健康保険、厚生年金は義務ではないが、雇用保険は加入義務。
B法人で一人親方だが、外注職人がいて、日当に消費税を加算して支払っている
→外注職人が労働者と判断され、社会保険の加入対象とされる可能性があります
例外として以下の方達は社会保険未加入作業員であっても工事現場に入れることとなっています。
・現場入場時点で60歳以上であり、厚生年金保険に未加入の場合(雇用保険に未加入の場合は該当しない)
・伝統建築の修繕など、当該未加入の作業員が特殊な技能を有しており、その入場を認めないと施工が困難となる場合
・社会保険加入手続き中であり、今後確実に加入することが見込まれる場合
従業員を「一人親方」として独立させて請負契約の形式で働いてもらっていたとしても、実態が労働者として認定されれば、会社は雇用主として社会保険等に加入義務が発生。
請負人(一人親方)が労働者と認定される判断基準
仕事に対する諾否の有無
→請負人は仕事を請けるかどうかは自由だが、労働者は断ることはできない。
仕事の進め方の指示の有無
→請負人は請負契約どおりに完了させれば仕事の進め方は自由だが、労働者は雇用主の指示をあおぐ形で仕事を進める。
拘束時間の有無
→請負人は請負契約どおりに完了させれば、かかった時間は問われないが、労働者は勤務時間が決まっている。
下請発注の有無
→請負人は下請発注の自由があるが(一括下請けのような丸投げは禁止されています)、労働者は自分の代わりに勤務させることはできない。
報酬の判定基準
→請負人は請負契約で指定された業務が完了したかどうかで判定されるが、労働者は時給や日給で判定される
もし一人親方が労働者と判断されて、法定福利の負担を避けるために行っていたと判断された場合、違法性の高い偽装請負となります!
偽装請負は、労働者派遣法、職業安定法、労働基準法、労働契約法、労働組合法など様々な法律に違反しており、懲役や罰金が科される可能性があります。
詳しくは経営事項審査のページで記載しますが、経営事項審査では加点項目と減点項目があって、社会保険の未加入は減点項目となります。
入っていることが通常であり、入っていない場合には減点されて他要素での加点を帳消しにされます。
さらに、平成30年以降は0点以下のマイナス点をそのままに評価するという改正が行われました。
参考までに減点項目の健康保険と厚生年金保険と雇用保険のそれぞれで総合評定値(P値)に−57点され、全て未加入の場合は-171点という大きな影響となります。
上にあげたように社会保険未加入の建設業者に明確なデメリットを設けることで、国土交通省は社会保険の加入を促し続けてきました。
公共事業労務費調査(平成30年10月調査)によると、公共工事に従事する建設労働者の社会保険加入状況は、企業別で97%、労働者別で87%と加入率は年々上がり続けています。
もし加入していない建設業者様がご覧になられたのであれば、これを機にぜひ加入をお勧めいたします。
忙しくて加入手続きの時間が取れないようであれば、お近くの社会保険労務士にお任せしましょう。
もし愛知県の尾張地方や岐阜県の東濃地方の建設業者様であれば、
私にお声かけて頂ければ、お付き合いのある社会保険労務士を紹介致します!